東京大学薬学部教授池谷先生の講演「脳にかかわるお話」の第2弾です。
「やる気のスイッチどこにある」というCMを覚えていますでしょうか?確かにやる気のスイッチを自分でOn、Offできたらどんなにいいでしょう。様々な実験により、「やる気」は脳の「側坐核」という部分で起こることが分かっています。その部分を活性化させる訓練をすると「やる気」が出るそうです。そして、「やる気」を感じた人に、そのときの様子や感じたことなどをインタビューする実験を数多く行い、データを蓄積します。データ分析から分かったことは、「楽しいことを想像したとき、気がついたらやる気が出た」ということでした。「楽しい過去のエピソードを振り返ったり、これから計画している楽しいことを想像したりすると、ストレスが減り前向きになり、それが「やる気」につながるのです。つまり、「楽しいことを想像し、毎日ご機嫌に生活する」が、「やる気」を引き出す秘訣なのです。毎日、「楽しいこと」を想像し、ご機嫌な生活を1年間続けると、性格も明るく、前向きになるそうです。逆に、いつも暗いことや辛い毎日を嘆き、マイナス思考の強い人は、なかなか「やる気」がでません。確かに、様々な分野で活躍している人は、明るく前向きに行動する傾向が強いように感じます。 次に、「口角を上げて、つまり笑顔で漫画を読むときと、しかめっ面(暗い表情)で漫画を読むときとでは、脳の活性状況にどのような違いがあるか」という実験です。 結果は「笑顔で漫画を読むときの方が脳は活性化し、面白さをより理解できる」でした。表情と感情には因果関係があり、「楽しい」と感じたとき自然に笑顔になるのはそのためです。(犬が尻尾を振ってうれしさを表現するのもこれです。)逆に「笑顔」によって「楽しい」という感情が触発されます。ですから、常に「笑顔」で取り組むことが脳の活性化を促し、楽しいという前向きな気持ち(やる気)を引き出すのです。 もう一つ、アメリカの陸軍士官学校の卒業生の分析結果から、面白いことが分かっています。この士官学校では、4年間勉強の他に激しい訓練やトレーニングが課されます。途中でリタイヤする生徒も多くいます。この学校に入学してくる若者の志望動機は様々です。「この国を守りたい」「家族の平和のために尽くしたい」など、「〇〇したい」という気持ち(「手段動機」という)で志望した者、「この学校、何か楽しそう」という気持ち(「内発的動機」という)で志望した者、大きくこの二つに分かれます。その中で厳しい訓練に耐え、途中でリタイヤすることなく卒業を勝ち取る生徒の多くは、「内発的動機」、つまり「楽しそう」という気持ちをもった生徒だそうです。やはりここでも、「楽しくご機嫌に生活する」が成功の秘訣ということです。 「楽しいことを想像し、毎日ご機嫌に生活する」「常に笑顔で取り組む」、これが「やる気」を引き出し成功へとつながる秘訣です。
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